仮想通貨のバーン(Burn)を解説 せっかく作った通貨を焼くのはなぜ?

数日前に、Binanceが10億円相当のBNBをバーンした、というニュースが流れました。

バーン(= Burn)
焼却です。

物理的実体がない仮想通貨を焼くといっても焼けるわけもなく、通貨の一部を使えない状態にして、市場に流通しないようにすることを言います。

でも、せっかく作った通貨をどうしてバーンする必要があるんでしょうか?
なんとなく無駄なことをしてないか???

今日はバーンについて掘っていきます。

通貨のバーンの目的は2種類

バーンは、実は様々な通貨で行われています。
その目的は、以下の2種

  • 通貨の流通量をコントロールするため
  • 通貨をバーンし、同価値の別の通貨を発行するため

それぞれの場合について、説明していきましょう。

通貨の流通量のコントロールを目的としたバーン

ドルや円のような法定通貨でも、価値の急騰や暴落に対処するために通貨の流通量をコントロールすることは、よくあります。

仮想通貨でも同様のことを行います。

マイニングの報酬としての新規通貨発行量のコントロールは、流通量をコントロールする一つの方法です。イーサリアムがConstantinopleハードフォークで、マイニング報酬を5ETHから3ETHに削減したのは、記憶に新しいところ。
新規の発行量を削減して流通量の増加速度を落とし、インフレが起こりにくい状態を作り出します。

イーサリアムのディフィカルティボム ハードフォークの今だからこそちゃんと解説

通貨のバーンは、発行量の制限よりもさらに積極的な、流通量のコントロール策です。
通貨の新規発行のペースを落とすのではなく、現在発行済で市場に流通している通貨を回収し、使えなくしてしまう。
そして、流通量の減った通貨の価値が上昇することを狙っています。

定期的に行われるBNBのバーン

Binaceが発行しているBinance Coin:BNBは、計画的にバーンを行うことが決められており、それがホワイトペーパーにも明記されています。

関連する部分を拾うと…

The Burn

Every quarter, we will destroy BNB based on the trading volume on our crypto-to-crypto platform until we destroy 50% of all the BNB. All transactions will be on the blockchain. We eventually will destroy 100MM BNB, leaving 100MM BNB remaining.

和訳…

バーン

四半期毎に、我々の通貨取引プラットフォームの取引量に応じてBNBを破棄します。これは、すべてのBNBの50%を破棄するまで行われます。すべての履歴はブロックチェーン上に記載されます。最終的には、1億BNBを破棄し、1億BNBが市場に残る予定です。

すでに6回のバーンが行われ、通算で1千万BNB以上がバーンされました。
BNBの価格は堅調に上り坂ですが、その一因がこの計画的なバーンにあるとも言われています。

※BNBについては、こちらで紹介しています。

Binance Coin(BNB)の特徴と将来性 Binance自家通貨は業界の基軸に育つか?【アルトコイン次に何買う?(3)】

TRONはメインネットへの移行時にバーンを実施

TRONは、dAppsのプラットフォームとして作られた通貨です。
もともとは、イーサリアム上のERC20トークンとして作られたものでしたが、2018年6月に独自のネットを立ち上げ、そのうえで稼働しています。

この独自ネットへの移行に合わせて、10億TRXをバーンしています。
当時の価値にして、約55億円。
TRXの全発行量の1%に当たる数量です。

しかし、この時はバーンによるTRXの価格への影響は見られませんでした。
仮想通貨全体の市場がネガティブなムードであったこと、さらにバーンの量が限定的であったことで、価格のトレンドを変えるには至らなかったようです。
バーンがいつも狙い通りの効果を持つとは限らないのです。

Proof of Burn:通貨をバーンして同価値の通貨を発行する

バーンを使う別の用途は、Proof of Burnです。
出ましたね… 仮想通貨の業界が大好きなProof of XXXのワードです。

既存通貨と引き換えに別種の通貨を新規発行するときに使われます。
例えばビットコインを別種の通貨に変えたい場合に、所持しているビットコインをバーンして、そのバーンの量に見合った量の別通貨の新規発行を受けるといったパターンです。

通貨の新規発行は、Proof of WorkやProof of Stake等の仕組みによるマイニングの報酬として行われる場合が大半ですが、Proof of Burnはマイニングによらずに通貨の新規発行を行う手段です。

※Proof of Work、Proof of Stake等のコンセンサスアルゴリズムについては、以下で解説しています。

氾濫するProof of Xをここらでまとめて解説 コンセンサスアルゴリズム編(PoW, PoS, PoI, DPoS)

そして、Proof of Burnによる通貨の新規発行を行った最初の例が、Counterpartyでした。

Counterparty:XCPのProof of Burn

Counterpartyは、ビットコインのネットワーク上で、DAppsのプラットフォームの構築を目指しています。
スマートコントラクトや新規トークン発行等の機能など、ビットコイン上でイーサリアムとほぼ同等な機能を提供しようとしています。

Counterpartyで使われる通貨はXCPです。
イーサリアムにおけるGASのように、Counterpartyのネットワーク上での処理を行うための燃料として使われます。

Proof of Burnは、XCPを新規に発行する際に行われました。
ビットコインをバーンした利用者に対して、バーンに対応する量のXCPの新規発行を行ったのです。

XCPのProof of Burnでは、ビットコインをバーンするためのビットコインアドレスが用意されています。

1CounterpartyXXXXXXXXXXXXXXXUWLpVr

というアドレスですが、このアドレスに対応する秘密鍵を知っている人はいません。
秘密鍵を誰も知らないということは、このアドレスに送られたビットコインは、だれも使用できないということ。
つまり焼いて捨てたのと同じ。

そして、バーンしたビットコインの量に応じて、XCPを発行する。
これが、CounterpartyのProof of Burnでした。

でも、Proof of Workではなく、Proof of Stakeでもなく、なぜProof of Burnを採用したのでしょうか?

CounterpartyはなぜProof of Burnを採用したのか?

理由は

XCPの発行に関して、プレマイニング等により、創始者とその周辺に有利な状況が発生することを防ぐため

でした。

Proof of WorkやProof of Stakeを採用している通貨は、マイニングに対する報酬として新規の通貨が発行されます。

通貨が公にローンチする前の開発段階では、マイニングは一部の関係者の中で行われます。
そのマイニングで発生する新規の通貨は、マイニングを実行した関係者が受け取ります。
いわゆるプレマイニングです。

プレマイニングにより、多くの通貨が公にローンチされたスタートの時点で、すでに大きな不公平を内在した状態となります。
ビットコインの開発段階でも、ブロックチェーンがつながり始めた初期は、Satoshi Nakamotoを始めとする数人の間でマイニングが行われ、そこで大量のビットコインが発行されています。

Counterpartyは、マイニングによる新規通貨の発行をせず、Proof of Burnという方法で、ビットコインと引き換えにXCPを発行することで、プレマイニングによる不公平の発生を避けたのです。

ビットコインとイーサリアムをつなぐWBTCでもProof of Burn

ビットコインとイーサリアムをつなぐWrapped Bitcoin:WBTCでも、Proof of Burnが使われています。

ビットコインとイーサリアムをつなぐWBTCローンチ その仕組みとインパクト

WBTCは、ビットコインにペグしたERC20ベースのトークン。
BTCをイーサリアムのネットワーク上で取引するために、ビットコインのネットワーク上のBTCを一部凍結し、WBTCに変えてイーサリアムのネットワーク上に移し、取引が終わればBTCに戻すという仕組みです。

ここでも、WBTCからBTCに戻すときに、WBTCをバーンしてBTCに変えるというProof of Burnが使われています。

まとめ

仮想通貨をバーン(=焼却)する…

ちゃんと意味ありましたね。
しかも、通貨の価値に深くかかわる、結構重要な役割で…

Burnという単語、仮想通貨業界のニュースをよくよく見てみると、結構出てきます。
見逃すと、あとで後悔するかも