ビットコインの次の半減期は2020年5月!! ストック・フロー比率を使った予想5.5万ドルを検証する

みなさんご存知のように、ビットコインの次の半減期は、2020年の5月と予想されています。

半減期後は、新規ビットコインの供給量が半減する。
供給量が半減するなら、売り圧力が激減し、価格が大きく上昇する…
このシナリオをみんな期待しています。

半減期後の価格に関する予想はあれこれ出ています。大半は大した根拠もない言いっぱなし。

でも、その中に論理的で説得力を持つものがひとつありました。主にTwitterで活躍している匿名アナリストのPlanBによる予想です。
彼は、2019年3月に公開した論文で、ストック・フロー比率という指標を使って、2020年の半減期後にビットコインの価格が5.5万ドルになると主張しました。

その論文がこれ…

 

5.5万ドル…
世間じゃ、仮想通貨は過去のモノって扱いになりつつある中、心温まるいい話。
しかも、それっぽいロジックがついてるみたいだし…

ということで、今日は、PlaBのビットコインの価格予想についてのお話です。

ストック・フロー比率(SF比率)とは

ストック・フロー比率(以降「SF比率」と略します)は、ストックとフローの2つの数字から計算されます。

ストックは「その投資対象が現在市場に存在する量」、フローは「その投資対象が年間に新たに生産される量」
この2つの量を使って、SF比率は以下のように計算されます。

   SF比率 = ストック ÷ フロー

つまり、「現在市場に存在する量を新たに作り出すのに何年かかるか」を表した数字。

例えば現在のビットコインですと、
ストックは現時点でのビットコインの全発行量で、約1,815万BTC
フローは1年分のマイニング報酬。2020年5月の半減期を無視して、現在の約10分毎に12.5BTCが1年続くとして、約65.7万BTC

ビットコインのSF比率は

   1,815万BTC ÷ 65.7万BTC = 約27.6

となります。

PlanBは、SF比率を投資対象の希少性を数値化した指標だとしています。
ここでいう希少性とは「対象物を手に入れることの難しさ」
新たに生産される量が限られているほど希少性が高い、その高さを数値化したものをSF比率と考えたのです。

PlanBは、これまでのビットコインの価格推移の説明、そして、今後の価格推移の予測に、この希少性を表すSF比率を使うことを試みます。

SF比率でビットコインの価格を説明できるか?

PlanBは、まずビットコイン以外の金や銀といった貴金属のSF比を計算しています。(下図参照)

貴金属のSF比率

貴金属のSF比率  PlanBの論文「Modeling Bitcoin’s Value with Scarcity」より

ストックが大きい割にフローの少ない金のSF比率は62、それに準ずる銀のSF比率は22
これに対し、フローの比率が大きいパラジウムが1.1、プラチナが0.4
金は、最もSF比率の高い投資対象です。

SF比率に対して、投資対象の時価総額を比べてみます。
時価総額が最も大きいのが金で約$8.4兆、その次が銀で約$3,000億
パラジウムがずっと下がって$120億、プラチナはさらに下がって$24億

SF比の大きいものほど時価総額が大きいのが分かります。

ではSF比率27.6のビットコインは、時価総額約$1,359億
銀に近いSF比率で、銀に近い時価総額

ここまでくると、SF比率が時価総額を説明する指標として、有効に思えてきます。

PlanBは同じ論文で、ビットコインの過去から現在までのSF比率と時価総額をプロットしたグラフを示しています。

SF比率と時価総額のグラフ

SF比率と時価総額  PlanBの論文「Modeling Bitcoin’s Value with Scarcity」より

ちょっと読みづらいグラフですので説明を…

  • 横軸がSF比率、縦軸が時価総額です。両方の軸が対数目盛。
  • 大きめの黄色の「〇」は、金のSF比率と時価総額をプロットした点。
  • 大きめのグレーの「〇」は、銀のSF比率と時価総額をプロットした点。
  • 小さめの「〇」はすべて、ビットコインのSF比率と時価総額をプロットした点。過去から現在までのいろんな時点での数値をプロットしているので、点がたくさんあります。
  • 青から赤まで、いろいろな色が違うのは、次の半減期までの時間を表しています。

このグラフを見ると、過去のビットコインのSF比率と時価総額の関係が、一本の直線状に並んでいます。驚くほどきれいに…
そして同じ直線上に、金や銀も乗っかっている。少しずれてるけど…

ここまで来ると、ビットコインの時価総額を説明する指標として、SF比率が有効な感じがしませんか?

次の半減期後のビットコインの価格は$5.5万?

PlanBは、これまで書いたようなロジックで、SF比率の推移から将来のビットコインの時価総額を予想し、そこからビットコインの価格を計算します。
同じように計算してみましょう。

次回の半減期発生時、発行済のビットコインの総量は1,837.5万BTCです。これがストック。
マイニング報酬は半減しますので、フローは現在の半分で、約32.85万BTC。

SF比率は、

   1,837.5万BTC ÷ 32.85万BTC = 約56

金のSF比率の62に、ぐっと近くなります。

前出のグラフ中の直線に基づいて、SF比率から時価総額を予想。SF比率56の場合、時価総額は1兆ドルを超えます。
1兆ドル超を総発行量の1,837.5万BTCで割ると、1BTCあたり5.5万ドル程度、となるわけです。

ねっ!
なかなか、説得力ありませんか?

SF比率による予測の問題点は?

SF比率…
個人的には、お気に入りの指標になってます。
とってもマクロなトレンドを予測するという用途に限定だけど。

でも、何事も鵜呑みにするのは禁物。この世にすべてを見通せる指標なんてありません。
ここで、SF比率に関していくつか気になる点を挙げておきましょう。

対数目盛はとってもラフ

まず気になるのは、前出のグラフが対数目盛である点です。

対数での議論は、とってもラフ。桁があってりゃOKで、2倍3倍は誤差の範囲。
PlanBの予想も、そういう粗さのある話です。
5.5万ドルの予想が、実際は1万ドルかもしれないし、10万ドルかもしれない。
それでも、前出のグラフ上は誤差の範囲です。

でもね、ビットコインの取引をしている我々からすれば、とてつもない差。
5.5万ドルなら「上がったねえええ」って思えるけど、1万ドルじゃ今と変わらない。

そういう粗い話だと理解しておく必要があります。

半減期が来たからって急には上がらない

下記のグラフを見てみましょう。

ビットコインの価格推移と半減期

ビットコインの価格推移と半減期  CoinMetricsの記事「CoinMetrics’ state of the Network:Issue 31」より

これは、CoinMetricsの2019年12月24日の記事に載っていたものです。
出典はこれ

ビットコインの価格推移のグラフに、マイニング報酬の半減が起こった時期を書き込んだものです。

一見してわかるのは、半減期が来たからって、即座に価格が跳ね上がるわけじゃないってこと。
価格のピークは、半減期のあと1年あるいは1年半程度経過したころに来ています。

半減期の到来は、その発生がプログラミングされており、起こるかどうか、いつ起こるかが明確に決まっているイベントです。
市場は、あらかじめ織り込み済みで動きますから、「半減期が来たら価格が跳ね上がる!!」なんてわかりやすい動きをするはずもありません。

SF比率によるPlanBの予想も、評価を下すには長い目で見る必要があるようです。

無限に価格が上がり続けるモデルは、どこかで使えなくなる

SF比率の定義は、

   SF比率 = ストック ÷ フロー

そしてビットコインのフローであるマイニング報酬は4年に一度半減し続けます。

現在は27.6であるビットコインのSF比率は、今年5月に倍、その4年後にさらに倍、そして倍倍と無限に上がっていきます。
PlanBの予測をそのまま適用すれば、SF比率の上昇に応じて、ビットコインの価格も無限に増えていく…

でも、実際にはそんなことは起こりません。
どこかでSF比率による価格予測は、成り立たなくなるはず。

難しいのは、その成り立たなくなる時がいつ来るのか? を知ること。
次の半減期か? その次か?
あるいはずーっと先なのか?

確定的なことは何も言えませんが、個人的には、2020年5月の半減期までは有効に働くのではないかと考えています。
次回の半減期後のSF比率は約56。
金のSF比率が62で、ビットコインの傾向と近い時価総額ですから、そのあたりのSF比率までは、一応の実績がある予想だと言えないこともない。

でもその次の2024年の半減期は分かりません。
SF比率は100を超え、ビットコインはこれまでにない希少性を持つ投資対象となるのですから…