ハッシュレートについて説明してみた  仮想通貨の今をリアルに示す含蓄のある数字

仮想通貨の業界って、よくわからない言葉が飛び交いますよね?

株や外国為替のような投資対象なはずなんですが、妙に技術っぽい話がついて回る。
ファンダメンタルな情報にも技術用語が出てくるので、正直ついていけない。
投資の判断にも困ってしまう。
でも、このあたりが、私のようなエンジニア上がりの理系のハートをわし掴みにするのですが…

この、よくわからんけどよく出てくる技術用語にハッシュレートがあります。

この言葉…
マイニングと関連して、仮想通貨関連のニュースにも出てきます。
しかもしょっちゅう…

例えば、

とか

とか…

2018年11月15日のビットコインキャッシュのハードフォークのゴタゴタでも、ビットコインABC側とSV側の間のハッシュウォーにおけるキーワードが、ハッシュレートでした。
※ビットコインキャッシュのハードフォークの経緯については、こちら

ビットコインキャッシュハードフォーク BTCABC vs BTCSVその後どうなった? そして私のBCHは… ビットコインキャッシュハードフォークの影響 Proof of Workの危機?

通貨の価格動向にも、安全性にも影響する重要なワード。
今日は、この、よくわからんけどよく出てくる用語、ハッシュレートについて解説してみたいと思います。

ハッシュレートって何?

ハッシュレートは、ハッシュと呼ばれるめんどくさい計算を1秒間に何回できるか、つまり、ハッシュの計算能力の高さを示す数字です。

単位は、H/s(=ハッシュパーセック)
10H/sなら、1秒間に10回のハッシュ計算ができることを示しています。

ハッシュは、もともとは暗号の領域で使われている特殊な計算です。
このハッシュが、仮想通貨とどんな関係があるのでしょう?

ハッシュと仮想通貨の関係

実はハッシュは、仮想通貨の安全性と深い関係にあります。

このあたりは、以下で解説していますが、今日は簡単にまとめてみます。

マイニングはどのぐらい難しい? 自分で掘る前によく考えよう【仮想通貨技術解説】 ハッシュの崩壊はビットコインの崩壊?【仮想通貨技術解説】

ブロックチェーンは、仮想通貨の取引を記録する重要な仕組みですよね。
ブロックチェーンが分岐して、複数のチェーンが乱立すると、仮想通貨の安全性が損なわれますので、正しい一本のチェーンを決めていく必要があります。

どのチェーンが正しいかをステークホルダー間で決めていく方法を、コンセンサスアルゴリズムといいます。
で、最もポピュラーなコンセンサスアルゴリズムがProof of Work。
ビットコイン、ビットコインキャッシュ、ライトコインなど、メジャーどころが採用しています。

Proof of Workは、通貨の取引履歴を格納したブロックに対して、世界中のマイナーが競争で取引の承認作業(=マイニング)を行います。
最も早くマイニングに成功したマイナーが、報酬として通貨の発行を受けることができる。

そして、マイニング作業のなかで膨大な回数繰り返されるのが、ハッシュの計算です。

結局、ビットコインやビットコインハッシュなどの通貨の安全性は、世界中のマイナーが日夜必死に実行している膨大な回数のハッシュの計算によって保たれているのです。

マイニングは、全世界のマイナーとの競争です。
限られた時間の中でたくさんハッシュの計算を行うほど、より多くの回数マイニングに成功して、より多くの通貨を受け取ることができます。

ですから、マイナーにとっては、ハッシュレート=ハッシュの計算能力は、重要です。

ハッシュレートの単位は、TH/S、PH/S…

ハッシュレートの単位は、H/s=ハッシュパーセック)
1秒間に何回ハッシュを計算できるかを表しています。

10H/sなら、1秒間に10回のハッシュ計算ができることを示しています。
10H/sの計算力で、1時間ハッシュの計算をすれば、36,000回の計算ができます。

数字が大きくなると、H/sの前に記号がつきます。
Kg = キログラムとか、MHz = メガヘルツと一緒です。

  • 1H/sの千倍、1,000H/Sなら、1KH/s(=キロH/s)
  • さらに千倍の、1,000,000H/Sなら1MH/s(=メガH/s)
  • そのまた千倍の、1,000,000,000H/Sなら、1GH/s(=ギガH/s)
  • またまた千倍の、1,000,000,000,000H/Sなら、1TH/s(=テラH/s)
  • もひとつ千倍の、1,000,000,000,000,000H/Sなら、1PH/s(=ペタH/s)
  • しつこく千倍の、1,000,000,000,000,000,000H/Sなら、1EH/s(=エクサH/s)

もっと大きいのもあるのですが、当面ここまでで大丈夫でしょう。

ハッシュレートの数字が意味するもの

ハッシュレート自体は、1秒間に何回ハッシュの計算ができるかという数字です。
でも、その言葉が使われる文脈によって、様々な話題に広がっていきます。

マイニングとハッシュレート

マイニングは、ハッシュの計算を高速に繰り返し続ける処理です。
ハッシュ計算を高速に処理可能であれば、報酬として通貨の発行を受ける確率も上がるので、マイナーにとって有利です。

ハッシュの計算は、皆さんがお持ちの通常のPCでも実行可能です。
でも、そんなの使ってるとマイニングの競争に勝てません。

その結果、現在では、マイニング用にハッシュ計算に特化したASICを搭載した専用コンピューター(=ASICコンピューター)を使うのが主流です。
ASICは、用途向けにカスタム化された集積回路です。

ASICコンピューターは複数の企業が製造・販売していますが、商品のASICコンピューターの仕様には、ハッシュレートが記載されています。

たとえば、ASICコンピューター製造・販売の大手であるBitmain社が出しているASICコンピューターの仕様には、ハッシュレートが記載されています。

2018年12月で見てみると…

  • Antminer T15 価格$913 ハッシュレート23TH/s
  • Antminer T9 価格$236 ハッシュレート最大12TH/s

という感じ。

マイナーは、ASICコンピューターの価格、ハッシュレート、そして稼働に必要な電力消費量などのスペックを見て、有利なASICコンピューターをそろえて、マイニングを行うのです。

「マイナーのハッシュレート」と言った場合は、マイナーが持つすべての機材によるハッシュの計算能力を指します。
つまり、マイナーが持つASICコンピューターなどのハッシュレートの総和が、マイナーのハッシュレートとなります。

マイニングプールのハッシュレート

マイニングは、世界中のマイナーが競争で行います。

マイナー単独で勝負するよりは、複数のマイナーが協力してマイニングを行うほうが、マイニングに成功する確率があがり、よりよい収益を得ることができます。

多くのマイナーが参加して協力してマイニングを行う集団をマイニングプールと呼びます。
マイニングプールでは、参加している多くのマイナーが協力してマイニングし、得られた報酬を貢献度に応じて分配します。

マイニングプールのハッシュレートは、プールに参加しているマイナーのハッシュレートを総和したものになります。

マイニングプールのハッシュレートが大きいほうが、マイニングにとって有利なため、マイニングプールの寡占化が起こる傾向にあります。
そして寡占化は、Proof of Workの51%攻撃の可能性を高めてしまう。

以下は、2018年12月時点でのビットコインのマイニングにおける、主なマイニングプールのハッシュレートのシェアです。
Blockchain.comが提供しているものの引用です。

大手のマイニングプール数社が、大きなシェアを持っていることが分かります。

特に、BTC.comAntPoolはともに中国系のBITMAIN社の傘下。
これだけで30%以上です。
また、ViaBTCも中国系のプールですので、この3つでシェア40%を超える現状は、要注意ですね。

通貨のハッシュレート

通貨自体のハッシュレートが話題になることもあります。

たとえば、ビットコインのハッシュレートと言った場合、ビットコインのマイニングのために、世界中で何回のハッシュ計算が1秒間で行われているかを指します。
ビットコインをマイニングしているすべてのマイニングプールや独立のマイナーのハッシュレートの総和ですね。

通貨のハッシュレートは、時間とともに変動します。

変動要因はさまざま。
マイナーやマイニングプールの数は常に変わりますし、彼らが使用する機材のスペックも変わっていきます。
報酬を受けやすい通貨も刻々と変わりますので、マイナーがどの通貨をマイニングするかも、変動します。

ビットコインのハッシュレート

下のグラフは、2017年1月から2018年末までの、ビットコインのハッシュレートです。
Blockcain.comからの引用です。

ビットコインのハッシュレート推移

2017年1月のビットコインのハッシュレートは、約1.9EH/s。

これが、ビットコインの値上がりとともに増加し、2018年にビットコインの価格のピークを越えた後も、増加し続けました。

ハッシュレートのピークは2018年8月、約58EH/s。
2017年1月の実に30倍の伸びです。

そして昨今の仮想通貨の価格の下落とともに、ハッシュレートも下落。
2018年末でハッシュレートは35EH/sにまで落ち込んでいます。
ビットコインの価格は、マイニングの損益分岐点を割ったといわれており、マイナーが撤退している現状がリアルに現れています。

イーサリアムのハッシュレート

以下は、イーサリアムのハッシュレートです。
etherchain.orgからの引用です。

イーサリアムのハッシュレート推移

こちらの現在のハッシュレートは200Tを切っています。

ビットコイン比べてだいぶ小さなハッシュレートです。
ビットコインとイーサリアムでは、使用しているハッシュの計算の内容が違いますので、簡単に比較はできませんが…

ビットコインキャッシュのハッシュレート

以下は、2018年11月15日のビットコインキャッシュのハードフォーク以後のハッシュレートです。
CoinDanceからの引用です。

ビットコインキャッシュのハッシュレート推移

ビットコインキャッシュABC(黄色)とSV側(赤)、それぞれのハッシュレートの遷移が分かります。

ハードフォーク直後は双方とも気合を入れてマイニングしていましたが、通貨の価格の下落もあり、息切れしている状況がリアルにわかりますよね。

まとめ

今日は、ハッシュレートについてお話してみました。

ハッシュレートは、Proof of Workを採用している仮想通貨にとっては、とても重要な数値です。
ハッシュレートを見ていくことで、様々な通貨の状況をリアルに知ることができます。

これだけ含蓄のある数字は、そうそうあるもんじゃないなと、記事を書いてみて改めて感じたのでした。