ビットコインキャッシュハードフォークの影響 SBIがBCHの大口ホルダーに?

ビットコインキャッシュのハードフォークのネタ…

2回続いたので次は別の話をと思ったのですが、SBIホールディングス北尾代表が、なかなかにインパクトのある発言をしてくれたので、SBIホールディングスの紹介も兼ねて、記事を起こすことにしました。

北尾代表の言葉を超訳すると…

ビットコインキャッシュのハードフォークは、欲とエゴの結果であって、本来すべきではなかった。
こういうことをするから、仮想通貨がどんどん売られてしまう。

ビットコインキャッシュの保有構造を変える必要がある。
将来的に、うちが3割ぐらいを保有していきたいと考えている。

とのこと。

どうもビットコインキャッシュのマイニングに力を入れて、3割程度のビットコインキャッシュを保有し、ビットコインキャッシュのネットワーク中での発言力を増そうと考えている模様。

※ビットコインキャッシュの紹介と2018年11月15日のハードフォークに関する記事はこちら

ビットコインキャッシュ BTCの派生通貨は本家を超えられるか?【アルトコイン 次に何買う?(2)】 ビットコインキャッシュハードフォーク BTCABC vs BTCSVその後どうなった? そして私のBCHは… ビットコインキャッシュハードフォークの影響 Proof of Workの危機?

SBIホールディングスと仮想通貨のかかわり

SBIホールディングス

SBIホールディングスは、1999年にソフトバンクグループの一員として誕生した、証券・銀行・保険等の金融サービスをコア事業とする企業です。

実績を伸ばす過程で、社名をSBIホールディングスに変えたのち、2006年にソフトバンクグループから完全に独立、今に至っています。

2017年度の連結売上3,370億円、税引き前利益が718億。

売上5兆越えの三菱UFJファイナンシャルグループ、三井住友ファイナンシャルグループ、日本生命、2兆に近い野村ホールディングスなどと比較すると見劣りはしますが、それでも日本国内ではビッグネーム。

新興の金融サービス会社ですので、ネットを使った金融サービスに力を入れており、仮想通貨事業にも積極的です。

CEOの北尾吉孝氏は、もと野村証券。

ソフトバンクの孫正義氏にスカウトされて、ソフトバンクグループ入り。
SBIホールディングスの前身である、ソフトバンク・インベストメントを設立します。

ソフトバンクグループからの独立の経緯は明確ではありませんが、経営戦略における孫氏と北尾氏の意見の対立が原因と言われています。

メディアへの露出も多く、インパクトのある発言も多い方ですが、経営手法自体は、なかなかに慎重というのが私の印象。
伸びるための戦略として仮想通貨などの新しい波には敏感で、強気の発言も多いですが、その実、イケイケの冒険はしないタイプの経営者だと思われます。

SBIバーチャルカレンシーズ

SBIバーチャルカレンシーズ

SBIバーチャルカレンシーズは、仮想通貨事業を行うSBIホールディングスの子会社です。
仮想通貨の売買サービスであるVCTRADEを運営しています。

VCTRADEはいわゆる販売所。
顧客間の板取引ではなく、SBIバーチャルカレンシーズと顧客の間での売買です。

※販売所と取引所の違いについてはこちら

仮想通貨取引サービス「販売所」と「取引所」の違い 各社の提供サービス比較

売買可能な通貨はXRP、BTC、BCH(=ビットコインABC)。

あまり積極的に取り扱い通貨を増やしていない。
取り扱い通貨のバリエーションを増やすという戦略は取らず、SBIホールディングスの戦略に整合する通貨を中心に事業を展開している印象です。

SBIホールディングスは、リップルの発行元であるリップル社の株を10%保持しており、リップルの運営に関して発言権を持っています。
また、アジアでのリップルの普及のために、リップル社と共同でSBI Ripple Asiaを立ち上げています。

ビットコインキャッシュに関しては、SBIホールディングス自体がマイニング事業を行っています。

つまり、SBIホールディングス自体がリップル押し、ビットコインキャッシュ押しの戦略。
SBIバーチャルカレンシーズでそれらの取引サービスを展開しているのも、その戦略の一環であって、リスクの大きい有象無象のコインを扱う方針は、北尾代表の目の黒いうちはとらないと思われます。

SBIがビットコインキャッシュの3割を保持?

SBIホールディングスがビットコインキャッシュの3割保持を目指すという、今回の北尾代表の発言。
すこし考察してみましょう。

なお、ここでいうビットコインキャッシュは、2018年11月15日のハードフォークによって分裂したうちの、ビットコインキャッシュABCを指しています。

3割保持は現実的なのか?

2018年12月現在で、ビットコインキャッシュの通貨発行量は約17.5百万BCH、価格は約13,000JPY。
時価総額は、約2,275億円です。

その30%は、682.5億円。
税引き前利益718億円のSBIホールディングスにとっては買って買えないことはない額ですが、リスクも大きい。
今すぐ買うとなれば、けっこうなギャンブルとなります。

こういやりかたは、もちろん北尾代表は取りません。
※孫さんならやるのかもしれないけど…

今回は、マイニングへの投資の増強により、長期的に保有率を伸ばすことを考えているようです。

ただ、ビットコインキャッシュの発行上限は21百万BCH。
そのうちすでに17.5百万BCHが発行されちゃってるので、大量に購入していかない限り、マイニングだけで30%保有に到達するのは難しい。

ハッシュレートの3割保持ならすぐにでも

では、仮に、マイニングのハッシュレートの30%を取るという戦略を考えてみましょう。
Proof of Workをコンセンサスアルゴリズムとする仮想通貨では、マイナーの影響力はとても大きい。

※マイニングとハッシュについてはこちら

ハッシュの崩壊はビットコインの崩壊?【仮想通貨技術解説】

以下はCoinDanceのビットコインキャッシュABC(黄色)とSV(赤)のハッシュレートの推移です。

ビットコインキャッシュのハッシュレート推移
2018年12月現在ビットコインキャッシュのハッシュレートは1,500ペタH/S。

H/Sは、一秒間に何回ハッシュ計算ができるかを表した単位です。
ペタは、メガ(100万)の上のギガ(10億)の上のテラ(1兆)、のさらに上の1000兆です。

現在のマイナーがそのままのハッシュレートで活動を続ける前提で、SBIホールディングスが30%のハッシュレートを占めようとするなら、約650ペタH/Sが必要です。

650ペタH/Sのマイニングを可能にするには、どのぐらいの投資が必要か…

例えば、BitmainAntminer S15なら約16.5万円で買うことができます。
Antminer S15の性能は28テラH/S。
650ペタH/Sを稼ぐには約23,200台。
必要な投資は、

16.5万円/1台 × 23,200円 = 約38億円

すぐにやれる…

もちろん必要な設備投資は、マイニング用のASIC機器だけではありません。
継続的に稼働させるには、電気代も人件費もかかります。
でも、SBIホールディングスがその気になればすぐにやれる規模。

SBIが大口マイナーになるのは良いこと?

上記の議論で、SBIホールディングスがビットコインキャッシュの30%を保持するのは難しそうですが、30%のハッシュレートをもつ大口マイナーになることは、比較的容易であることがわかりました。

新たなマイナーが参加することは、51%攻撃への耐性が上がるという点において、とても良いことです。

51%攻撃は、Proof of Workをコンセンサスアルゴリズムとしている仮想通貨にとっては、常に潜在的な危機です。
特に、今回のビットコインキャッシュのハードフォークで、その可能性が顕在化してしまいましたので、今は特にクローズアップされています。

その状況で、資金力のあるSBIホールディングスが大口マイナーとして参入することは、市場の安定にプラスに働くことは間違いないでしょう。
30%という一定の上限を設定している点も、ポジティブな材料です。

ただ、北尾代表が、「SBIホールディングスが市場を安定させる正義の味方」っぽく話しているのが気になるところです。

Proof of Workは、マイナーのうちの誰かが特別に正しいとか、そうでないとかを区別しません。
みな自己の利益を追求するステークホルダーにすぎず、そういう存在がたくさんいることで非中央集権が保たれる仕組みです。

他が怪しいから、SBIホールディングスが出て行って、何とかしてやろうって感じは、???ですね。

 

でも、大口のマイナーになるための投資をすぐに行うという可能性は低いと思います。

インパクトのある話題を振っておいて、様子を見るというのが北尾代表の戦略。
やるにしても小出しに始めて、風が吹いてくるかどうかを見てみようってところでしょう。