仮想通貨の売買手数料…
投資を始めた方は誰でも気にしますよね。
仮想通貨の売買は、単に安く買って高く売るってだけでは、プラスになりません。
手数料分は頭に入れておかないと、トータルで利益を得ることはできません。
でもそれだけでしょうか?
スプレッドという言葉を聞いたことありますよね。
仮想通貨を買うときの値段と、売るときの値段の差です。
手数料なんかより、スプレッドのほうがずっと金額が大きい。
手数料よりも売買の損益への影響がずっと大きい存在です。
この記事では、仮想通貨取引のスプレッドについて説明します。
目次
スプレッドって何?
スプレッドは、仮想通貨を買うときの値段と、売るときの値段の差です。
仮想通貨交換業者で仮想通貨取引を行う場合、ほとんどの場合、スプレッドが存在します。
以下はGMOコインが運営している販売所の現物取引の発注画面です。
※ シンプルですっきりと分かりやすくできているので、Good。
BTC/JPY(=日本円でビットコインを売買)の売買価格が表示されています。
売却価格と購入価格の2つが表示されています。
売却価格が1BTC=714,603円、購入価格が1BTC=716,603円。
その差は2,000円。
この差額がスプレッドです。
この例では、1BTCの価格に対する割合で言えば約0.28%です。
なぜスプレッドが重要なの?
スプレッドが重要な理由…
それは、取引で儲けが出るかどうかに直接かかわるからです。
先ほどのGMOコインのBTC/JPYの例で考えると…
1BTCを購入するのに716,603円かかります。
それを直後に売ったとすると、売値は714,603円。
買って直後に売っただけで2,000円のマイナスです。
この取引をプラスで終えるには、ビットコインの価格が2,000円上がるまで待つ必要があります。
つまり、取引はいつも、スプレッドの分だけマイナスを負った状態からスタートするのです。
取引の際にかかる費用に各種手数料があります。
でも、最近は仮想通貨交換業各社が手数料の値下げ競争をやっており、とても安く抑えられています。
GMOコインの現物取引の手数料も無料に設定されています。
それに対して、スプレッドは2,000円。
ビットコインの価格の0.28%。
とても大きい数字です。
しかも、スプレッドは必ず、購入額 >売却額、です。
買って売ったら必ず損が出る。
逆はありません。
仮想通貨取引において、スプレッドは最も気にしなければならない数字です。
同じ条件ならスプレッドが小さい交換業者を選ぶ
これが鉄則です。
販売所と取引所のスプレッドは違う
スプレッドがどこから来るのか? その額が何によって決まるのか? は、実は仮想通貨の取引の形態によって異なります。
仮想通貨取引には、さまざまな形態があります。
多くの仮想通貨交換業者が、複数の形態の仮想通貨取引サービスを提供しています。
その形態の中で、スプレッドの成り立ちに大きく関係するのが、「販売所」と「取引所」の違いです。
※販売所と取引所の違いについての詳細は、こちら

販売所のスプレッドは取引手数料
仮想通貨の販売所は、仮想通貨交換業者と利用者の間で、仮想通貨の売買をする取引方式です。
販売所の取引は、販売所を運営する仮想通貨交換業者と、その業者に口座をもつ利用者の間で行われます。
売買の値段は、販売所側が決定し、利用者に提示します。
利用者は、提示した値段での売買の注文を行います。
販売所のスプレッドは、販売所を運営している仮想通貨交換業者が決めます。
それでは、販売所のスプレッドのポイントを説明していきましょう。
販売所を運営している仮想通貨交換業者は、仮想通貨の売買差益で稼いでいるわけではありません。
仮想通貨の販売に伴う手数料で収益を得ています。
ところが、多くの販売所が、顧客を誘引するために、取引手数料自体はとても安くするか、あるいは、無料にしています。
しかし、彼らもどこかで稼がなければなりません。
それがスプレッドです。
販売所は、取引にかかる諸経費や利益分を考慮してスプレッドを決めます。
ですから、仮想通貨交換業者を選ぶ際に、取引手数料ゼロならOKと考えてはいけません。
必ずスプレッドを確認しておくことが重要です。
もっと言えば、取引手数料は、交換業者間でそんなに差があるわけではありません。
手数料より、スプレッドをよく吟味することのほうが、ずっと大事です。
販売所内での取引量はスプレッドの大きさに影響します。
取引量が多ければ、多くの取引からスプレッドを得ることが見込めます。
取引所としては、一度の取引あたりに乗せるスプレッドを小さくしても、トータルの収入は大きくできます。
ですので、取引量が多いほど、スプレッドは小さくなります。
その結果、取引量の少ない販売所よりも、取引量の多い販売所のほうがスプレッドは小くなります。
また、仮想通貨の種類によるスプレッドの大きさの違いも、流通量の差が主な原因です。
取引量の多いビットコインようなメジャーな通貨と、取引量の少ないアルトコインでは、メジャーな通貨のほうがスプレッドが小さい。
上述のBTC/JPYの例と同じタイミングでの、GMOコインのETH/JPYのスプレッドは、1ETHあたり448円。
この時点での1ETHの価格が約22,400円ですから、価格対比の割合で言えば2%。
通貨の価格に対する割合でみれば、BTC/JPYの約0.28%と比較してずっと大きいことがわかります。
販売所のスプレッドは、仮想通貨交換業者が決定するものです。
取引にかかるコストや利益分として徴収したい額は一定ですので、通常の状態では、スプレッドが急に大きくなったり、刻一刻と変動したりすることはありません。
その結果、スプレッドは変動することなく一定の額のまま安定しているのが、いつもの姿です。
しかし、急激な価格変動が起こった場合は異なります。
例えば、価格が急激に高騰している最中では、市場に買い手が多く売り手が少なく、買値と売値の差が広がります。
販売所は、この市場の状況をみて、スプレッドを大きくします。
また、価格が急激に変化している最中には、売買の注文時の価格と、その注文の実行が完了した時点での通貨の価格が大きく変わってしまう場合もあります。
この際に思わぬ損失がでるのを避けるため、販売所はリスクヘッジとしてスプレッドを大きくします。
仮想通貨は、様々な要因で急な価格変動が起こります。
市場がまだ十分に成熟しておらず、十分流通していない通貨も多いため、一つ一つのニュースやイベントの影響が、価格に大きく跳ね返ってくるからです。
急激な価格変動によるスプレッドの拡大は、変動が収まれば小さくなる、一時的なものです。
でも、油断していると、思ったよりずっと大きいスプレッドになっていることは、よくあります。
価格変動が激しいときは、いつもより一層、スプレッドにも気を配りましょう。
取引の判断や作業も立て込んで一刻を争うときですが、そういう時だからこそ細心の注意が必要です。
スプレッドの大きさが、取引の成否に大きく影響するがゆえに、スプレッドの大小は、顧客を引き付けるのに重要な要素となります。
販売所のスプレッドの大きさは販売所を運営する仮想通貨交換業者が決定します。
それゆえ、他社のスプレッドと比較して魅力がある程度にスプレッドを小さくする、という顧客誘引戦略が可能です。
例えば、GMOコインは、2018年11月28日までの限定でスプレッドを縮小するキャンペーンを打っていました。
こういったキャンペーンの情報には、常にアンテナを張っておくのがお得です。
仮想通貨交換業者が展開している様々なキャンペーンの情報は、以下でまとめています。

取引所のスプレッドは、買い注文と売り注文の差
仮想通貨の取引所は、利用者間の取引を、仮想通貨交換業者が仲介する取引方式です。
取引所は、様々な量や額の買い注文と売り注文を多くの利用者から受け付けます。
それらから条件の合う注文をマッチングして、取引実行します。
売買の値段は、取引所が決めるのではなく、多くの利用者による売買注文の状況によって決まります。
売買注文を管理し、現時点での注文状況を利用者に提示するために、取引所は板と呼ばれる注文リストを持っています。
以下は、BITPointが運営している取引所の板です。
※ 見やすいよう、板の長さを若干縮めています。
右側に「売数量」「価格」「買数量」のリストがありますが、これが板です。
売りたい人の注文(売値&数量)と買いたい人の注文(買値&数量)が、値段の順でならんだリストです。
希望する買値は希望する売値よりも下ですから、上の図のような並びになります。
このリストのうち、
- 買いたい人が最も安く買える値段が、売り注文の最低値段(=最低売り気配額)。図では、717,193円
- 売りたい人が最も高く売れる値段が、買い注文の最高値段(=最高買い気配額)。図では、716,439円
そして、この二つの額の差がスプレッドになります。
この図の場合、754円がスプレッドです。
取引所のスプレッドの仕組みが分かったところで、取引所のスプレッドに関するポイントを説明します。
取引所のスプレッドは、売買の注文状況によって決まります。
取引の手数料も、取引を仲介する交換業者の利益も、価格変動に対するリスクヘッジ分もありません。
その結果、取引所のスプレッドは販売所のそれに比べて小さいのが通常です。
販売所より取引所での取引が得な場合が多いのは、スプレッド大きさの差によります。
仮想通貨の価格が急激に変動していない通常の状態では、販売所のスプレッドはほぼ一定の額で安定しています。
これは販売所が自身の裁量でスプレッドを決定しているからです。
これに対して、取引所のスプレッドは刻々と変わります。
実際の注文状況を直接反映した数字だからです。
取引所におけるスプレッドも、その取引所における仮想通貨の流通量の影響を大きく受けます。
この点は販売所と同様なのですが、よりリアルに目で見てわかる方法があります。
それは、板の厚さです。
板の厚さとは、買いと売りの注文が板にたくさん載っているかどうか、より正確には、一定の価格の幅にどのぐらいの価格の間隔でどのぐらいの数量の注文がならんでいるか、を言います。
たくさんの注文が、細かい値段間隔でたくさん並んでいれば、板が「厚い」。
そうでなければ、「薄い」といいます。
板が厚ければ、売買の注文が密に並びますので、スプレッドは小さくなります。
その結果、たくさんの利用者がいて、たくさんの売買注文が集まる取引所、
すなわち、流通量の多く、板の厚い取引所のスプレッドが小さくなります。
仮想通貨の価格変動が大きくなると、取引所のスプレッドも大きくなります。
この点は販売所と同じですが、理由は取引所側の都合ではなく、売買注文の状況が原因です。
例えば、急激に価格が高騰している場合、売買注文の価格の間隔広がります。
一時的に、板が薄い状態と同じ状態が作られるわけです。
その結果として、取引所のスプレッドが広がります。
販売所の場合と同様、急激な価格変動による取引所のスプレッドの拡大は、一時的なものです。
でも、油断していると、思ったよりずっと大きいスプレッドになっていることは、よくあります。
取引所においても価格変動が激しいときは、スプレッドにも気を配ることは必須です。
スプレッドに関するポイントをまとめると…
今日はスプレッドについて、販売所と取引所それぞれの場合に分けて説明してみました。
仮想通貨の売買をするときには、通貨の価格以外に、手数料やポジション料など、様々なお金に気を配る必要があります。
スプレッドは、その中でも最も額が大きく、売買の損益に最も影響するお金です。
それゆえに、仮想通貨交換業者の選択や、売買する通貨の選択、日々の売買の実行の際に常に気を配る必要があります。
最後に、この記事で述べた、スプレッドに関するポイントをまとめてみます。
販売所のスプレッドのポイント
スプレッドは影の取引手数料と心得ましょう。
取引手数料ゼロならOKではありません。必ずスプレッドを確認しましょう。
販売所での取引量に応じてスプレッドの大きさは変わります。
取引量の多い販売所のほうがスプレッドは小さい。
メジャーな通貨のほうがスプレッドが小さい。
スプレッドは、通常ほぼ一定。でも、急な価格変動があると大きくなる。
価格変動が激しいときは、いつも以上にスプレッドにも気を配りましょう。
スプレッドの小ささを売り物にする販売所もある。
キャンペーンの情報には、常にアンテナを張っておきましょう。
取引所のスプレッドのポイント
取引所のスプレッドは、販売所のそれよりは小さい。
ほとんどの場合、取引所のほうがお得。
販売所か取引所かで迷ったら、取引所を選びましょう。
流通量によってスプレッドの大きさが変わる
流通量が多く、板の厚い取引所を選びましょう。
急激な価格変動時にはスプレッドが大きくなる
価格変動が激しいときは、いつも以上にスプレッドにも気を配りましょう。